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教えよう[中学校編] - 指導のポイント

教えよう[中学校編]

指導のポイント

❶ コートと人数

コートは、たて30~50m、よこ20~30mぐらいの範囲で、1チームの人数や走る能力に応じて設定してください。走るのが速い子が一人で走るワンマンプレーが頻発する時には、コートの横幅を狭くするとよいでしょう。

1チームの人数は最低4人で始めます。タグラグビーは、タグをとったプレーヤーととられたプレーヤーが一時的にゲームに参加できない時間帯が生まれるので、1チーム3人で行うとゲームが流れなくなるからです。

ボール扱いやゲームに慣れてきたら人数を5人に増やし、さらにコートを大きくできる場合は6~7人に増やすこともできますが、その際には、運動が苦手な子がボールに触れなくなっていないか、十分に注意しながら進めてください。

❷ 得点の仕方

固い校庭や体育館などで行う時には、ボールを地面に置かなくても、ゴールラインを超えたら得点とすればよいでしょう。その時は、ゴールラインを超えたらボールを上に掲げて「トライ!」とコールするとわかりやすく、また得点場面が盛り上がります。

❸ パスの指導

これまでの運動経験の中で子どもたちが身につけているパスの仕方は、ボールを片手で投げたり、両手で投げるチェストパスのようなものです。これらはみんな、丸い形のボールを前へ投げる技術ということができるでしょう。

しかし、タグラグビーでは前へパスをすることができませんから、楕円の形のボールを両手で持って、左右にスイングするように投げることになります。もし、この技術を練習しないでタグラグビーを始めれば、前に投げることに向いている片手投げやチェストパスを使って無理に横や後ろへパスをすることとなり、結果的にスローフォワードやパスミスが頻発してしまうことでしょう。

細かい形にあまりこだわる必要はありませんが、準備運動のバリエーションに示された「円陣パス」のような、両手でスイングして左右に投げるパスの仕方をたくさん経験させることは、単元の最初の時間に必ず行うようにします。

❹ スローフォワードを少なくする指導

他のボールゲームにはない、パスを前に投げられないというルールへの適応は、中学生にとっても少し難しいかもしれません。単元の最初から、この反則をできるだけしないようにするための指導のポイントは二つあります。

まず、パスを前に投げてしまうのは、前へボールを投げてしまったプレーヤーよりも、ボールを持っている味方の前方へ動いてしまったプレーヤーに責任があると考えます。したがって、準備運動のバリエーションにある「金魚のフン」をしながら、ボールを持っていない時はボールを持っている味方のお尻が見える位置について走るという経験をさせて、ボールを持っている味方を追い越さないように指導します。

★ 3人組を作り、ボールを持った人が金魚、残りの2人は金魚のフンになる。
ウォーミングアップをかねて、金魚の人はゆっくり右左に自由に走る。
フンは金魚のお尻が見える位置についていく。
 いつも金魚=ボールを持っている味方を追いこさないように走る経験をする。

また、ボールを持っているプレーヤーには、単元の最初はボールを持ったらまず前に走ることを大いに奨励します。タグラグビーでは、前へ投げなければいつパスをしてもOKですが、最初はパスのことは考えず、タグをとられるまで走ることを促すのです。

どのボールゲームでも、いつパスをしたらよいのか、そして誰にパスをしたらよいのか、という状況判断は難しいものです。これはタグラグビーでも同じで、学習の最初からパスをさせようとするとわけもわからないままボールを放り投げてしまい、スローフォワードがよく起こります。そこで、「ボールを持ったらとにかく前に走ろう」、「タグをとられたらパスをしよう」と声をかけます。

つまり、単元の最初に期待するゲームの様相は、パスゲームではなくてランニングゲームだということです。この指導によって、いつパスをしたらよいのか→タグをとられて走るのをやめた時、誰にパスをしたらよいのか→ふりかえって後ろにいる金魚のフンに、というように状況判断が易しくなり、スローフォワードは自然になくなります。

ただし、だからといってタグをとられる前にパスをすることを反則にする必要はありません。いずれランニング中心のゲームから、タグをとられる前に行うパスが増えていくパスゲームにゲームの様相は発展していくからです。単元の中盤ぐらいから、タグをとられる前にしたパスがトライに結びついたシーンなどをどんどん誉めて、徐々にそういったパスが増えていくように指導していきましょう。

❺ タグをとる・とられることをめぐる指導

タグをとる場面で、時々つき指のケガが起こります。タグを着けている位置が左右の体側ではなく、身体の前面にずれている時に起こりやすくなります。プレーをしているとだんだんベルトが動いてタグの位置がずれてくるので、常に体側にタグがあるか、自身で気をつけるように指導しましょう。

タグをとったら、大きな声で「タグ!」とコールすることを徹底します。声が小さいとタグをとられたプレーヤーがとられたことに気づくことができません。また、とったタグは必ず手渡しで返すことを強調します。とったタグをグランドに投げ捨てていくことを容認してしまうと、授業の雰囲気はとても悪くなってしまいます。

タグをとられたプレーヤーがすぐに止まれずに3歩を超えて動いてしまったオーバーステップの反則については、タグをとられたら直ちに止まれるようにスピードを加減しながら走ることを気をつけさせます。止まろうとしているのであれば、状況に応じて3歩という規制を少しゆるくしてもいいでしょう。

❻ オフサイドの指導

タグラグビーのオフサイドは守る側の反則です。タグをとられたプレーヤーの真横に想定されるオフサイドラインより、守る側から見て前方のスペースでは一切プレーできないということを、下の図を使って説明します。

特にオフサイドが多く起こる場合は、練習に、以下に示した「ハンバーガーラン」を取り入れて、ボールをはさんで常に両方のチームが対峙する姿を覚えさせましょう。

★ボールを持った教師が真中に立ち、「ボールをはさんで右左」と言いながら左右に動く。
両チームとも、それに合わせて左右に動く。
教師はとつぜん、どちらかの1人にパスをする。ボールを持った側が攻め、持っていない側が守る。

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